記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
想像力の鍛え方
記憶と創造の脳科学   記憶術とは?  創造力の鍛え方  アイデア発想法   記憶術初心者講座

個性とは? 模倣と独創性の狭間

 
 絵画・デザイン、音楽、文芸などの芸術的分野では、ちょっと物事がわかりかけてくると、自分の個性を表現しようとして独創的であることにとらわれる人が出てきます。独創的作品をめざすことはもちろん悪いことではなく、そうあるべきなのですが、基本が身についてない段階で個性をあまり意識しすぎると、作品が弱いものとなります。

 私の考えでは、個性は表現しようとして生まれるものではなく、意識しなくてもいやおうなく現れてしまうものです。他人が個性と感じるものと自分が個性だと思っていることの間には、かなりのズレがあるのが普通です。

 たとえば一つの作品をみんなで模倣して、それぞれ作品を作ったとしましょう。結果は…? 同じ作品は絶対に生まれないはずです。どの部分をどのように真似るかが人によって異なる上に、その真似の仕方にも個性が表れるからです。

個性とは環境の中で無意識に形成された、消しても消しきれない自分らしさ

 個性とは、その人の持って生まれた資質や性格を土台に、育った自然環境や社会的文化的環境、教育、影響された思想や将来への夢などが加わった総合的なものです。消しても消しきれない、どうにもならない自分らしさ。それが個性ではないでしょうか。考え方や感性が独創的なのは、個性が際立って強いからであって、そのこと自体で作品を評価することにはなりません。

 まずは「まねび」ながら様々なエキスを吸収すること。囲碁ではプロになっても棋譜を何度も碁盤に並べて勉強するそうですが、それと同じように画家のタマゴたちは巨匠の作品を模写することによって隠された技法を盗もうとします。

 碁の本質に迫る考え方や手筋を身につける囲碁と、表現技法を身につける絵画では模倣の意味は異なりますが、「作者の心がわかった」と思えるまで(ほとんどの場合それは錯覚ですが)、真似てみることは大切です。とことん真似ていくその先に、必ず物真似ではない自分らしさが見えてくるはず…。それを育てることが独創の第一歩となるでしょう。

 

 とはいえ、物真似ではない自分にたどり着くためには、狭い専門分野の中に閉じこもっていてはダメです。たとえば芸術的な分野では、隣接する分野にも関心を持つことが大切です。絵画をやるなら詩や小説を読む。小説を描くならスナップ写真を撮ってみる。写真を撮るなら詩歌やノンフィクション文学や社会問題を扱った本を読む。異なる創作分野に関心を持ち、慣れ親しむことによって、物事の捉え方が変わっていきます。個性は、そうした知識・経験・感覚の融合から生まれるものです。

 これは芸術的分野ではない創造的な仕事(商品開発、発明、販売企画、広告宣伝、新プロジェクト創設…等)においても同じことがいえます。自分の専門分野のみに凝り固まった人には、なかなかすぐれた創造的な仕事はできません。異なる専門分野に2つくらい通じ、それらを自分の脳の中でコーディネイトできたときに、創造性が発揮できるのだと思います。

  トップ   HOME  >  記憶と創造の脳科学・心理学(index)