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ブレストで成果を得る人選とは

 本稿は、「アイデア発想の原点―ブレーンストーミング」及び「ブレストを成功させるための準備」からの続きで、ブレストを成功させるために特に重要な人選についての解説となります。

 ブレーンストーミングは、ひとりの天才的なひらめきの持ち主に対して、「数人で束になれば勝てる」というコンセプトの元に遂行される作戦です。しかし、参加するメンバーによっては、「3人よれば文殊の知恵」というわけにはまいりません。

 私が参加したブレストで、あまり成果の上がらなかったケースでは、メンバーの多くがブレストをよく理解していなかったことが多かったように思います。これは事前のレクチャーが不十分だったり、司会者のコントロールが不足している場合によく起こります。

 具体的には、批判精神の旺盛なでしゃばりの傾向がある人が、批判禁止のタブーを平気で破ることです。また、関連する専門業務に精通しているベテランの批判とも受け取れる感想も、若い人や専門外の参加者を萎縮させる効果があります。

 一方で、組織の中で発言することをためらう性格の人が多数います。私も若い頃はそうしたタイプの一人で、思っていても発言しないことがよくありましたが、仕事に自信をつけていく中でそれを克服しました。

 一般に日本の社会では、自分の考えを述べたがらない大多数のおとなしい人たちが、一人か二人の「声の大きい人」に引きずられ、牛耳られるという傾向があります。特に学校のPTAなどでは発言量の多い人の思いどおりになってしまうことが多々あります。

 声の大きさや発言量と、内容の豊富さや的確さは直接関係がありませんから、黙っていると時にはおかしな流れになってしまうことがあります。ブレーンストーミングにおいては、これだけは避けなければなりません。そのためには、単にブレストの意義や進め方を理解してもらうだけは不十分で、参加者の人選が重要になってきます。

 次に参加者のキャラクターを「ボケ役」「話し上手で聞き上手」「個性的な人」「優等生タイプ」「専門ばか」の5タイプに分けて、必要な理由、存在意義を解説します。

ブレーンストーミングに必須! “ボケ役”の重要性

 会議の席上では、間違ったことやトンチンカンなことは言えない。これはプライドの高い人ほど強いのではないでしょうか。また、プライドはさほど高くなくても、メンバーの顔ぶれを見て気後れしてしまう自信のない人はいるものです。それらの人に、自由闊達にしゃべってもらうためには、どうしてもボケ役の人が必要になります。

 ボケ役の人は、本人が自覚しているかどうかは別にして、どこの組織にもいるものです。思ったことがすぐ口に出てしまう。自分の言ったことが結果的に間違っていたと気づいても気にしない。からかわれても怒らず、むしろ喜びを感じる性格…。要するに恥をかくことを恐れない、常に前向きの明るいキャラクターということですが、これがブレストには欠かせないのです。

 ボケ役の人が触媒となって、頭が固いと思われていた人から思いがけない飛躍したアイデアが飛び出すかもしれません。少なくとも、会議は大いに盛り上がるはずです。

話し上手で聞き上手

 日本では、口数が多くてにぎやかな人を社交的と考える傾向がありますが、その中には自己中心的な人も少なからずいます。真の社交上手な人は、話し上手であるとともに聞き上手です。

 本当に話のうまい人は、自分だけ長々としゃべったりはしません。また、聞き上手な人はよく相づちを打ち、絶妙のタイミングでうまい質問ができる人です。相手の話をうまく引き出してこそ、会話が発展していくものです。
 
 話し上手で聞き上手な人は、ブレストでは欠かせません。

個性的な人

 ここでいう個性的とはもちろん、性格に癖があるとか、容貌が印象的という意味ではありません。たとえば「楽器の腕前はセミプロ」だとか「囲碁六段」というように一芸を持った人、現在の業務とはまったく異なる職業を経験した人、海外で暮らした経験のある人、さまざまな分野の友人を持っている人などは、どこか人と違うものを持っているように感じられるのものです。

 そうした個性的な発想をするかもしれない人をブレストに参加させることによって、多様なアイデアが出ることを期待します。

優等生タイプ

 優等生タイプは有名大学を出て、知識も豊富。どんなことにもそれなりに筋の通ったもっともらしい考えを述べることのできる人です。こういう人は創造性が求められる分野ではあまり能力が発揮できない、という考え方が一部にあります。そう考える人は、優等生タイプとは逆の、八方破れの人のほうが素晴しいアイデアを出す可能性が高いと思っているようです。

 でも、これは偏見だと思います。アイデア豊富な人は、優等生タイプにもそうではない人にも一定の割合でいるはずです。

 また、アイデアの乏しい優等生でも、他の人の突飛なアイデアに触発されて、それを修正したり、他のアイデアに合体させたりして素晴しい提案をする可能性があります。そもそも創造の大部分は模倣から成り立っているわけですから、ブレストでは優等生タイプの隠れた底力にも大いに期待すべきです。

専門ばかタイプも侮れない

 優等生と並んで、自分の専門外のことにはまったく疎い、いわゆる専門ばかも固い人間と考えられ、斬新なアイデアが出にくいという通念があります。しかし、これも偏見といわざるを得ないでしょう。

 専門ばかの守備範囲は狭いかもしれませんが、他の人が入り込めないほど深いものがあります。たとえば特許・実用新案の取得は、「専門ばか」と言われるくらいの得意分野を持っていないと難しいでしょう。

 テーマに関連した専門分野に熟知している人を生かす場こそ、ブレーンストーミングです。専門と非専門によるアイデアの合体=相乗効果を期待しましょう。


 ※次に、「一人ブレストのやり方」へ進みます。たった一人で様々なキャラクターと思考パターンを演じ、こなすためのコツをまとめました。

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