記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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間違いだらけの記憶術情報3(広告)

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1.一度覚えたら忘れない?

 「記憶術なら、一度覚えたことは忘れない!」
 これは記憶術の広告でよく見かけるコピーです。確かに、記憶術は一度に大量暗記できることと並んで、いつまでも忘れにくいという特長があります。

 でも、「いつまでも」とはどれくらいなのか? もちろん、個人差がかなりあります。しかも、「一度覚えたら…」というわけにはまいりません。正確には、「通常の覚え方で復習や記憶確認の作業をする時間や回数に比べて、著しく少ない労力で済む」ということなのです。

 ですから、「一度覚えたら(二度と)忘れない」は明らかに誇大広告です。「二度と」の文字を取ったところで、あいまいであり、「絶対に忘れない」と誤解してくれることを期待しています。ここまで書かなくても、記憶術の並外れた長所を説明することはできるはずです。誇大広告だと見破られた瞬間にその会社の記憶術教材だけでなく、記憶術そのものの信頼性にまで傷がついてしまいます。残念なことです。

2.記憶術は右脳を使って覚える方法?

 能力開発的なことにちょっとでも興味を持った方にとって、右脳と左脳の役割の違いは常識でしょう。でも、「右脳を鍛えると頭が良くなる」式の日本人の常識は、科学的には疑問が投げかけられています。

 にもかかわらず、相変わらず「記憶術は右脳を使って覚えるから、不可能と思えることができる」といった類の広告コピーが大手を振るっています。

 これは「魚のEPAをとると頭が良くなる」とか、「酸性食品は体に悪い」といったいかにも科学的に見える主張と同じです。まともな学者で、このような説を本気で唱える人はいないでしょう。

 でも、科学的に誤った情報でも、ひとたびそれが広まってしまうと、専門家が何と言おうと一般消費者はそれを信じて疑いません。「右脳を鍛えると頭が良くなる」も、脳科学的裏づけがあると信じている方が多いのでしょう。

 「右脳・記憶術」もそうした似非(えせ)科学の一つですが、今日では、「右脳と左脳を別々に鍛えることはできない」というのが脳科学者の見解で、まるで右脳だけを使って覚えるかのように神秘化した似非科学を振りかざすのはいかがなものかと思います。

記憶術とは、左脳、右脳、前頭葉の機能を総合的に活用して覚える技術

 実際の記憶術は右脳を中心に使うというわけではありません。暗記とは言葉を覚えることですから、中心となるのはやはり左脳の言語中枢です。これをイメージ化するときに、言葉を視覚的にイメージする右脳の機能を意識的に活用するわけです。

 しかし、記憶術でいうイメージ化は右脳の力だけではできません。実用的目的の記憶術では抽象語をイメージ化するテクニックを頻繁に使うわけですが、これは前頭葉の前の部分(前頭前野=一般には前頭葉という)を駆使して行うのです。前頭葉は人間が普通に生活するために必要な意欲や計画、実行にかかわる大脳の司令塔で、創意工夫や創造もこの部分が担っています。

 「右脳=映像」は受身であり、そこには「能動的に記憶する」というニュアンスが感じられません。「前頭葉=創造性」を使うからこそ、人間の本来持っている全脳的な知恵を総動員して短時間で記憶することができるのです。その意味で記憶術は創造(=想像・イマジネーション)です。

 記憶術を「右脳の働き」とする説明は、その広告の企画担当者・原稿制作者が実際の記憶術を一度も試したみたことがなく、脳科学にも無知である可能性を示しています。

3.一日10分の練習で習得できる?

 「一日10分の練習で習得できる」という広告コピーは、「記憶術を身につけるために、わざわざ時間をかけたくない」という人を想定したレトリックです。

 でも、記憶術の書籍や教材を執筆した当の先生自身が、1日10分の練習で習得できると本気で思ってはいないでしょう。なぜなら、記憶術に関して才能があったと思われる指導者の中にさえ、「一日10分の練習で身につけた人」はいないはずですから。

 記憶術はいわば頭のスポーツです。「1日10分の練習だけで身につくスポーツ」なんて考えられません。練習量の多い人ほど高いレベルに到達するのは、記憶術もスポーツも同じです。

 どんな技術や技能の習得にも、一定のレベルになるための「標準的な練習時間」というものがあります。例えば、「1日1時間、週5回で6週間、合計30時間で習得するカリキュラム」とか、そういうものです。

 なお、30時間のカリキュラムなら、計算上は1日10時間もやれば3日でできることになりますが、人間の脳はそのようにはできていません。一度に詰め込みすぎれば、脳はパンクします。では逆に、1日10分だったらどうでしょうか? 土日も休まず毎日続けても、身につくまでに6ヶ月かかる計算になり、とてもやっていられませんね。しかも、1回の練習量が少なすぎて、やらないのと同じ結果になりかねません。

 こんなまやかしのレトリックにだまされる人は少ないと思いますが、それにしても「1日10分で何日かかるのが標準なのか」「それはどんなカリキュラムに沿っているのか」、まったく説明不足です。他の分野の学習教材の広告では考えられないことです。

 記憶術についてのさまざまな偏見や中傷は、このような誇大広告が招いた“マイナス効果”であり、残念なことです。

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