記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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記憶の3段階―覚えるとは?

 あなたは記憶に自信がありますか? たいていの方は「覚えることが苦手」「記憶力に自信がない」と思っているのではないでしょうか。自分のことを「記憶力がいい」などと公言している人はめったにお目にかかりません。

 私も中学・高校時代、暗記に関しては苦手意識がありました。特に歴史や地理、生物、化学などの分野では覚えるのに苦労しました。

 ところで、ひと言で「記憶力が弱い」といいますが、覚えられないのか、忘れっぽいのか、その違いを考えたことがありますか?

 私の場合は、ちょっと長い言葉などを見たり聞いたりして、直後に復唱するのが幼い頃から苦手でした。今風の言い方をすれば、脳のワーキングメモリー機能がちょっと弱いのかもしれません。そのため、まとまったことを覚えることも苦手だったのです。でも、一度しっかり覚えたことは比較的忘れないほうだったかもしれません。若い頃には今と違って、ど忘れすることもあまりありませんでした。

記憶には3段階がある

 すでにお気づきの方も多いと思いますが、記憶には「覚える」という作業と「思い出す」という作業があり、その間に「覚えている」という脳の状態があります。言われてみれば当たり前のこの現象を、心理学では順番に、

 @記銘、A保持、B想起

といいます。

 急に難しそうな雰囲気になりましたが、「分類して名前をつけた」にすぎません。要するに、@物事を頭に入力する段階と、それをA脳に保存して記憶を保つ段階、さらにB必要なときに思い出すという段階を区別しましょう、というだけのことです。

 だれでも経験する「ど忘れ」という現象は、第3段階で「いつもはできることが一時的にできなくなった」ということです。

 また、すっかり忘れていた昔のことを、あることがきっかけで突然思い出すというようなことがありますが、これも厳密には忘れていたのではなく、「長い間取り出すことのなかった記憶を、脳のファイルから見つけて取り出すことができた」ということです。

 なお、脳生理学(脳科学)でも記憶を3段階に分けており、次のような用語を使っていますが、意味はまったく同じです。

 @獲得(頭に入れる=記銘)
 A固定
(保持する=保持)
 B再生
(取り出す=想起)

 心理学がどちらかといえば文学的なのに対して、生理学には機械的なムードが漂っていますね。肉体と精神を別個のものと考えて、人体を物質と見る西洋合理主義の認識は、上の用語にも現れていて、私は心理学用語のほうが好きです。

優れた記憶法は、思い出すきっかけをうまく仕込む

 それはともかく、記憶では覚えることよりも思い出せることのほうが大切です。一時的に思い出せなくても、何らかのきっかけがあれば記憶は甦りますから、覚えるときにそのきっかけとなるものを仕込むことができれば、暗記はいっそう確かなものになるでしょう。

 関連するものがわかっている場合は、思い出すのは容易ですし、出だしの文字が1字わかっただけでもそれが大きなヒントになって、思い出すことが多いものです。様々な記憶法はそうした記憶の「再生=想起」の仕組を利用しているものがほとんどです。

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