記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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好き嫌いを決める扁桃体が記憶に関係

 脳内で記憶を司っているのは、海馬というタツノオトシゴのような形をした小さな器官ですが、海馬が一人(?)で何もかも決めているわけではありません。扁桃体というあまり耳慣れない器官も、記憶に深くかかわっていたのです。

 扁桃体と記憶の関係を説明する前に、扁桃体の一番の存在理由である重要な働きについて述べておきましょう。


扁桃体の役割は情動を司ること

 扁桃体は、側頭葉の内側の奥にある直径1センチメートルほどの丸い器官です。霊長類などの高等せきつい動物にあり、生存に重要な役割を果たしています。

 扁桃体は五感を通して脳に入った情報に対しての情動反応を処理しています。

 わかりやすくいうと、私たちがさまざまな食べ物を好きになったり、嫌いな食べ物があったり、人を好きになったり、毛虫やムカデを見ると不快になったり、暗闇を怖がったりするのは、扁桃体の働きによるものだということです。

 この扁桃体が何らかの異常をきたしたらどうなるでしょうか? たとえば、恐怖の感情がマヒしたら怖いもの知らずでいいように思えますが、恐怖心の欠如は状況次第では命にかかわります。

 逆に何でもないことに恐怖を感じるようになったら、「○○恐怖症」という心の病になってしまいますね。理屈では「怖くない」とわかっていても、体が恐怖を感じる。つまり、理性が扁桃体の異変をコントロールできなるわけですから、扁桃体の役割は重要です。

扁桃体と海馬との、記憶をめぐる密接な関係

 扁桃体は人の情動を司り、感情の記憶に働いているだけでなく、記憶全般に関しても強い影響力を持っていることがわかってきました。

 

 扁桃体は大脳辺縁系の下部、海馬と隣り合わせの位置にあり、相互に情報交換をしていると考えられています。

 私たちは、特別に好きなことは努力しなくて覚えられますが、関心のないことはなかなか覚えられません。また、喜怒哀楽の感情を強く抱いた出来事はいつまでも覚えていますが、ほとんど感情を動かされなかった出来事はすぐに忘れてしまいます。長期記憶には扁桃体が強く働いているのです。

 だから、しっかり記憶しようと思ったら、扁桃体の情動処理の働きを利用することが大切です。

 たとえば、好奇心を強く持つことも、扁桃体を刺激することになり、学習効果が急激に高まります。逆に、嫌いな教科の勉強をいやいややるのは、学習効果があまり上がらないことは、誰でも経験のあるところです。感情をうまくコントロールし、脳をだますことができれば、記憶の効率は良くなります。

なお、突飛なイメージを頭にに描いて覚える記憶術もある意味では、扁桃体の働きをフルに活用した体系的な記憶テクニックだといえるでしょう。

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