記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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囲碁・将棋で鍛える右脳、左脳、前頭葉

  人工知能(AI)の発展に寄与した将棋と囲碁(すぐ下)   右脳を使う人ほど、囲碁・将棋の上達が早い
  セオリーや読みの右脳化=直観力を磨く   強くなればなるほど、前頭葉がフル回転する創造的ゲーム

人工知能(AI)の発展に寄与した将棋と囲碁

 あなたは囲碁や将棋がどんなゲームがご存知ですか? 囲碁と将棋はどちらも、運の介在する余地のない純粋頭脳ゲームであり、チェスやオセロなどを含む世界中の盤上ゲームの中でも双璧をなしています。

 ひと頃、AI(人工頭脳)が将棋や囲碁のトップ棋士を破って話題になりましたが、コンピュータの最先端の研究開発に将棋や囲碁が選ばれたこと自体が、頭脳ゲームとしての完成度の高さを証明しているともいえるでしょう。

 コンピュータの側から見れば、「記憶や計算、分析、予測、判断などを求められるほとんどの頭脳分野で、人間の脳力をはるかに超えてきたが、囲碁・将棋の分野では2010年代に入ってようやく人間の頭脳に追いついた」ということです。つまり、囲碁や将棋を楽しみ、腕を磨くということは、単なる知識や計算(読み)の積み重ねを超えた、全脳的な思考回路を磨くということなのです。

右脳を使う人ほど、囲碁・将棋の上達が早い

 囲碁・将棋は、超初心者から見れば、「一寸先もわからないのに、先を読まなければならない、とても頭の疲れるゲーム」かもしれません。「結局、頭の良い人にはかなわない」…そんなふうに決めつけて、この面白いゲームから遠ざかっている人がどんなに多いことでしょう。

 でも一つ、大きな誤解があります。囲碁・将棋で主に使う脳は、中級レベルくらいまでは図形的パターン認識を司る脳の右半分であり、論理的思考を司る脳(左脳)を使うのは、かなり強くなってきてからの話です。特に囲碁は「右脳が90%」といってもよいでしょう。

 大人になってから囲碁や将棋を始めた方は、左脳で「答えを出そう」とする傾向がありますが、これがつまずきのもととなります。駒の動き(将棋)や石の形(囲碁)に目が慣れることが先決なのです。頭脳に多少の自信のある方がそのことに気付かず、入門早々壁にぶつかると、碁や将棋の面白さを実感する前に挫折してしまいます。

81マス、8種類の駒の、パターン認識トレーニング

【将棋/入門者向け トレーニング】
飛車・角の利き筋が一目でわかりますか?
先手、後手それぞれ取れる駒は? そのうち、駒を取ると、逆に飛車または角を取られてしまうのは?

入門者向けトレーニング










  答えは最下段

【上級者向け 一目で解く詰将棋】
5手詰です。10秒以内に解けますか?

詰将棋問題










  答えは最下段


【囲碁 一目で解く問題】
①左上、右上、右下=入門者向け
 黒番。白石を取ってください。
②左下=上級者向け
 黒番。白石を取ってください。
 5手先がパッと見えます?
一目で解く石取り問題
  答えは最下段

 将棋は、9×9=81のマス目に8種類(合計40枚)の駒を並べ、それをルールに従って交互に動かして、相手の王を取るゲームです。入門者はまず、駒の動かし方に慣れ、盤面全体をざっと見回しただけで、40枚の駒の動ける範囲(利き筋)が見えることが大事です。超初心者同士では、駒を取ったり取られたりすることにどちらがよく気がつくかで、勝負が決まるといっても過言でありません。つまり、考える以前の視覚的なパターン認識(右脳)に早く慣れることが、上達を早める鍵となるということです。

 右脳が将棋のパターンに慣れ、やがて飛車や角、銀、桂などそれぞれに特有の上手な駒の使い方を覚え、王の詰め方の基本を知ると、将棋が面白くなってきます。さらに、王の囲い方敵陣の破り方などの駒組み(戦法)を学べば、左脳(論理脳)を使って将棋を指すレベルになります。初段は、手の届く現実的な目標となるでしょう。

361の交点上に繰り広げる、白黒のパターン認識トレーニング

 碁盤には19×19の線が引かれ、計361の交点上に黒と白の石が置かれます。碁の最終目的は陣地を囲うことにあり、どちらの地が多いかで勝負を決します。しかし、相手の石の四方をすき間なく囲むとその石を取ることができ、取った石は最後に地を数えるときに相手の陣地に埋めて数えます。

 白石と黒石が織りなす盤上の模様は、初心者にはその意味がさっぱり分からず、また石を取ったり取られたりすることも、眼が慣れていないため気がつかないということがあります。将棋で、気がつかずに駒をタダで取られてしまうのと同じように、囲碁も図形的なパターン認識のレベルの差で、勝負が決まってしまうわけです。

 さらに囲碁には、地を囲うという「量の争い」でありながら、石を殺したり殺されたりという部分的な「質の争い」が勝敗のカギを握るなど、局面の見方が複雑で中級~上級レベルになっても難しいという問題があります。囲碁というゲームの本当の面白さが分かるまでに時間がかかることが、将棋に比べて挫折しやすい大きな要因となっています。

 碁の楽しさが分かるまでには、石の正しい形や、相手の石の取り方(手筋)、生きている石と死んでいる石の区別、死活の基本などを学ぶ必要があります。ここまで進んでようやく左脳を使ことになります。しかし、この段階で一手一手時間を使っているようでは、碁はあまり強くなりません。形をパッと見ただけで、取れそうな石や取られそうな石(石の強弱)がわかるように実戦経験を積むことが大事です。

セオリーや読みの右脳化=直観力を磨く

 あらゆるゲームには、戦いを有利にするために特有のセオリーがたくさんあります。それらは序盤、中盤、終盤に分かれるだけでなく、部分的なテクニック(手筋)から、状況に応じた全体的な戦略、戦術まであります。さらに囲碁・将棋においては、初心者のレベルで身につけるべき手筋やセオリーから、有段者になってからでないとよく理解できない高度な複合手筋やセオリーがあります。

 それらをひとつひとつ学び、実戦で試していく中で、やがて身につけた一連の読みやセオリーは考えなくても瞬時に頭に浮かぶようになります。これは左脳で身につけた読みや論理が右脳化(直感化)されたと見ることができます。考えなくても直感的に有力な手が頭に浮かぶことによって、左脳の負担は軽減され、さらに高い次元の思考に進むことができるのです。この段階になると、囲碁も将棋も初段は間近です。

強くなればなるほど、前頭葉がフル回転する創造的ゲーム

 将棋と囲碁を、右脳と左脳という観点から述べてきましたが、前述の「左脳で身につけた論理の右脳化」でお分かりのように、それぞれ別々に働くものではなく、両者をつなぐ脳梁によって、密接に絡み合いながらゲームを進めているのです。そして、それらを統括しているのが前頭前野(前頭葉)です。

 前頭葉は囲碁または将棋に関わるあらゆる知識と経験、体得した手筋やセオリーを基に、これからの方針を意欲的に模索し、創造的に目標や仮説を立て、全脳的に今後の方針と次の着手を決定します。

 どんなに知識や経験を積もうと、中盤戦に入れば一手一手が初めて経験する場面であり、未知の領域です。盤上の一局は、さながら人生を生き抜いていくがごとく、新しい領域へと進んで行きます。その過程で、前頭葉は創造的にフル回転し、いくつかの作戦上の岐路や失敗を乗り越えて、勝ちを手に入れようとします。

 技量が同格の人との対局では、勝敗は単純なミスも含めて時の運です。勝てば気持ちよく、自信につながりますが、負けたときはだれでも悔しいもの‥‥。しかし、敗因を追求することで、技術面や精神面での教訓が得られ、負けた悔しさは消えてゆきます。

 古川柳に「碁敵は憎さも憎し懐かしし」という有名な句がありますが、碁や将棋ではライバルがいることがこの上ない喜びでもあるのです。この頭脳的かつ創造的ゲームを楽しむことは、人生に計り知れない豊かさをもたらすでしょう。

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将棋入門者向け・解答図【将棋/入門者向け トレーニング】の答え
先手飛車の利き筋―1三の角と9五の香が取れますが、角を取ると、同香と飛車を取られます。
先手角の利き筋―7三桂と1一の香が取れます。
後手飛車の利き筋―8八の銀が取れますが、すると同金と飛車が取られます。
後手角の利き筋―取れる駒はありません。

【上級者向け 一目で解く詰将棋】の答え
☗3一角、☖1二玉、☗1三銀、☖同桂、☗2二飛まで5手詰。
初手☗3二飛は、☖1三玉、☗3五角、☖2四歩で詰みません。


囲碁・石を取る問題・解答図【囲碁 一目で解く問題】の答え
①左上、右上はそれぞれ黒△
 右下、黒△でオイオトシ。次いで白□には黒×。
②左下、黒a、白b、黒c、白d、黒eまで。「鶴の巣ごもり」という有名な手筋です。蛇足ながら、この後、白aのツギには黒×でまとめて取れます。






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