記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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趣味の脳トレでアンチエイジング脳をつくる

認知症予防のかんたん教材は効果があるか?

 ボケ防止を目的とした脳トレ法として、一桁の計算問題朗読などのやさしいトレーニングが効果的だということで、一般に浸透しています。それらは、大脳生理学的な研究と被験者による実際の実験の裏付けをもとに作られたものが多く、その意味では科学的な方法といえます。でも、本当に効果があるのでしょうか?

 認知症が他人事ではなくなった現代では、「何か脳に良いことをやらなければ」と考えている人が多いと思います。しかし、巷で喧伝されている脳科学者お墨付きの認知症予防法には、一部の専門家からいくつかの疑問が投げかけられています。ここでは、そうした批判的な立場の考え方を示すとともに、その他の有力な「ボケないための脳トレ」についてもご紹介します。

脳の血流について

 まず、脳科学(大脳生理学)から生まれた認知症対策トレーニングですが、これは主に脳の血流を調べた結果が理論的根拠になっています。初期の認知症の患者に一桁の足し算問題をさせると、脳の血流が活発になった、という実験です。しかも、複雑な問題をさせると、逆に血流は不活発になるという結果が出たというのです。難しいことをさせると脳が思考停止になって、血流が悪くなる。だから、やさしい計算が脳を鍛えるには効果的だ、というわけです。

 でも、脳の血流だけに注目し、それをよくすることが脳を鍛えることになるのか、疑問を呈している脳科学者もいます。また、ごく普通の考え方をすれば、「頭を使わなくてもできるやさしい問題のほうが、難しい問題よりも脳に良い」という考えには、釈然としない方も少なくないはずです。

「改善」と「予防・機能アップ」の違い

 「そうは言っても、実際に実験を繰り返し、認知症が改善されるデータが出たことを否定するのか」、という反論があるかもしれませんね。確かに、軽度の認知症患者には統計的に有意な結果が出たかもしれません。しかし、それはすでにボケが始まっている状態を少しだけ改善したに過ぎず、まったく正常な人の脳機能をアップさせることにつながるのかどうかは疑問が残ります。

 そもそも、実験は小さなグループを単位として行われています。指導を担当する実験者と被験者のコミュニケーションや、被験者同士の人間的な交流が病状を改善させた可能性も否定できません。同じ環境でまったく別のこと、たとえば簡単なものをいっしょに手作りすることなどとの比較実験があったのでしょうか。

楽しめる脳トレで、進化し続ける若い脳を…

 幸いにしてまだ認知症になっていない多くの方の中には、このままでは認知症になりかねたい人も少なからずいらっしゃるかもしれません。そうした方が簡単な計算や朗読などをするのは、やらないよりはマシかもしれませんが、もっと楽しんで脳を鍛える方法はないでしょうか?

 身体は、長い間使わないと、その部分の筋力や柔軟性などが極度に衰えます。脳も同様で、使っていない部分は確実に衰えます。ボケはある日突然、始まるのではなく、5年、10年と時間をかけて歩むのです。ですから、過去または現在の生活の中であまり使っていない頭の使い方をするのが、その人にとって最善のボケ防止法になるのではないでしょうか。

 次に、脳の一部分だけを使う単純トレーニングではなく、楽しみながら総合的に脳を鍛える様々な認知症対策法を簡単にまとめました。これらは、「ボケたくない」などという消極的な動機ではなく、「若い脳を取り戻したい」「生涯、脳を進化させていきたい」という方にもお勧めできるものばかりです。

 アンチエイジング脳をつくる、趣味の脳トレ法

・家族や友人たちと食事やお茶をしながら会話を楽しむ
 コミュニケーションを楽しむことは言語野を総合的に使うとともに、前頭葉を活性化させます。

・趣味やボランティアの仲間など、新しい人間関係を築く
これまでにない新しい世界が広がり、意欲や幸福感が増します。

・楽器の練習や手芸・工作など、手を使う趣味を始める(または再チャレンジする)
 新しい手(指)の動かし方を覚えることで大脳を活性化。ただし、無意識にできるレベル、例えばお箸を使うことなどは効果はありません(でも、お箸がうまく使えない人にとっては脳に良い)。

・図形パズル、クロスワード系パズル、論理パズル、とんちパズルなどを幅広くやる
 注意力だけが要求される単純図形パズルだけでは不十分。できるだけいろいろなパズルに挑戦してみましょう。その場合、なんとか半分以上解ける問題のほうが、意欲が持続して効果的です。

・幅広いジャンルの読書をする
 読書は知識を広げるだけでなく、読解力や論理的思考力を向上させ、さらに創造の基礎となる想像力を養います。知性の源は読書から。生涯にわたって脳を進化させることができます。

・囲碁、将棋、オセロ、チェス、麻雀などを始める(再チャレンジする)
 右脳(図形)、左脳(論理)、前頭前野(戦略)を駆使しながら楽しむ、最高の脳トレ法です。

・日記、メール、エッセイ、投稿文などの文章を書く。俳句、川柳、短歌などを作る
 文章を書くことは言語野(左脳)を使うだけでなく、頭にイメージを描くので右脳も使います。さらに、創造的な作業なので前頭前野も高度に使います。

〔次は脳トレではありませんが…〕

・よく笑う。人の話を聞く。カラオケやおしゃべり、散歩などでストレスを発散する
 ストレスは体にも脳にも悪い影響があります。ストレスはためないこと、そして人にもストレスを与えないこと(必ず自分に帰ってくる)。人は話をしっかり聞いてくれる人に好感を持ちます。よく笑うとストレスが軽減され、免疫力が高まります。

・動脈硬化・脳梗塞を防ぐ食事と運動を心がける。
 脳血管系のボケを防ぐためには、高血圧、高脂血症を避けるための生活習慣が大切です。

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