記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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夢と記憶とレム睡眠

 私が大学生の頃、日本ではフロイトの精神分析学がまだ大手を振るっていました。フロイトの影響を受けた知識人にとって、夢は「潜在的願望の現われであること」が常識でした。

  しかもフロイト派は、どんな夢も性的な願望やコンプレックスと結びつけてしまう傾向がありましたから、うっかり他人に夢の話などできません。

 夢を性的願望一辺倒で解釈するのは行き過ぎとしても、何らかの潜在的願望もしくは気がかりなことが夢に現れるのだと、私を含めて多くの人は当時そう考えていました。荒唐無稽に見える夢にも、実は深い意味があるのだと……。

 そういえば、「夢判断」という占いもどきの学問もありました。

夢の役割とは? 睡眠に2つのパターン

 ところが夢にまつわるそうした考え方自体が、夢の内容と同様に荒唐無稽だったのです。現代の脳科学では、夢は「記憶の再生」だと考えられています。私たちは眠っている間に、混沌とした情報を整理して記憶を整理しているのだそうです。

 夢が記憶を整理していることを思えば、試験勉強は寝る前にするのが効果的だいえます。少なくとも、寝る前にテレビやゲームで脳を興奮させるのは得策ではありません。

 また夜食も、本来休めるべき睡眠時に胃袋を働かせることになるので、脳にいいとは思えません。そもそも胃には体内時計の役割がありますから、夜食によって体内時計が狂い、寝起きが悪くなるために、翌日の午前中は脳の働きが悪くなる可能性があります。寝る前は静かに勉強をして、何も食べずに寝るのが脳にはよさそうです。

レム睡眠とノンレム睡眠


 ところで、「私は夢をあまり見ない」という人でも、実際には一晩におびただしい量の夢を見ており、実際に覚えているのは1パーセント以下なのだそうです。

 また、「一晩中、夢を見る」という人もいますが、これもありえない話で、夢を見る時間帯は決まっているといいます。

 私たちの睡眠のパターンは二つあり、レム睡眠(REM:rapid eye movement)とノンレム睡眠を交互に繰り返しています。夢を見ている時間帯は、眼球が活発に動くレム睡眠のときで、記憶に関係する脳も働いています。逆にノンレム睡眠のときは深い眠りで、眼球は動きません。

 この他にレム睡眠とノンレム睡眠には様々な違いがあるので、次にまとめてみました。

レム睡眠の特徴

・眼球が激しく動く
・夢を見る
・脳波が活発になる
・呼吸や心拍数が乱れるか、早くなる
・体は動かない

ノンレム睡眠の特徴

・眼球は動かないが、入眠時に少し運動が見られる
・夢を見ない
・脳波は静か
・呼吸は遅い
・体はよく動く

記憶は睡眠によって強化される、という実験

 レム睡眠中に夢を見ることによって、記憶が整理され、補強されるという考えは、脳科学の世界ではほぼ常識となっています。それを補強する実験結果が、米ハーバード大のチームによって発表されました。

 その実験は、男女48人を半分ずつに分け、20ペアの単語を記憶してもらって、12時間後の成績を比較するというシンプルなものでした。一つのグループは朝9時に記憶して夜9時にテストをする覚醒組、もう一つのグループは夜9時にテストをする睡眠組で、さらにそれぞれのグループを半分に割って、記憶妨害をする組としない組に分けました。ちなみに記憶妨害は、テストの内容とは違う20ペアの単語を見せて混乱させるというものでした。

 結果は、記憶妨害のない組では、睡眠組みの成績は覚醒組みより12%よいという程度のものでした。しかし、記憶妨害をした組では、睡眠組みの成績は覚醒組みより44%も上回っていたということです。

 勉強したら余分なことで脳を煩わせず、さっさと眠る。それが、効果的な勉強法のようです。

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