記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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脳の重さやしわは頭のよさと関係あるか?

 脳の重さやしわは頭のよさと関係があるのか? 自分の脳の重さやしわの状態がわかったとしても、どうにもならないわけですが、気になる問題ではあります。

 昔から、人間が動物よりも知能が高いのは脳が重いからだと言われていました。ところがクジラのほうが脳が重いということがわかってくると、人間は脳のしわが多いとか、体重あたりの脳の比率が大きいとか言ってつじつまを合わせてきました。実際はどうなのでしょうか?

アインシュタインの脳

 人間と大型哺乳類の比較はともかく、同じ人間同士ならやはり脳の重いほうが頭がいいのでは? という考えは成り立ちます。
 
 そこでよく引き合いに出されるのがアインシュタインです。ホルムアルデヒドに漬けられて保存された彼の脳を研究すれば、天才の脳の秘密がわかるかもしれない…と脳科学者たちは考えたわけです。

 ところが大方の期待を裏切って、アインシュタインの脳の重さは1230グラムとむしろ軽いほうで、その他の面でも研究者が目を輝かせるような特徴はなかったのです。

男の脳は女の脳よりも重いけど…

 もう一つ、脳の重さについて興味深い数字があります。それは男と女の脳の重さの違いです。人間の脳は平均すると1400グラムで、男性の平均は女性の平均より100グラムほど重いことがわかっています。

 やっぱり男のほうが頭がいいという証拠があるじゃないか、と古い頭の男性が喜びそうですね。フェミニストが目くじらを立てないうちに、女性にとって有利な情報を開示しておきましょう。

 確かに女性の脳は、平均で見ると男性の脳より軽い。でも、単位体積当たりの脳細胞やニューロンの数は、女性のほうが男性より多いことがわかってきました。全体として見れば、ニューロンの総数は男女差がほとんどないのです。

 う〜む、女のほうがコンパクトながら燃費がよいのか…。女性はまさに“エコ脳”だったのですね。

脳のしわの謎。頭を使うとしわが増える?

人間の脳の表面には丸みを帯びた低い隆起(これをという)がたくさんあり、その間を谷間のような形の(こう)が走っています。これが一般にしわと呼ばれているものです。

 アメリカのある科学雑誌の予測(1992年)によると、脳のしわを伸ばすと1.5平方メートルにもなるのだとか…。この他に、自宅の居間くらいの広さだとか、テニスコートくらいの広さになるという説もあり、脳のしわの表面積については定説がありません。

 では、なぜ脳にはしわがあるのかという問題です。

 多くの人々が考えた理由は、大脳皮質の表面積を増やすことによって、より多くの情報を収めることができるからだということです。大脳皮質は記憶を長期間保存しておく場所ですから、単純に考えれば、「しわが多い人ほど記憶量が多い」ということになります。

 でもそうなると、「人間が一生に使う脳細胞は全体のほんの一部にすぎない」という「常識」と矛盾してきます。使っていない細胞があり余っているのに、なぜ「スペースが足りない」といってわざわざしわを作る必要があるのでしょうか?

 

 だいぶ以前(2009年5月)の「日経サイエンス」に、その疑問を解消する答えが載りました。
「脳のしわが明かす謎」という論文よると、「脳のしわは、離れた領域をつなぐニューロン(神経細胞)の物理的な力によって生じてくる」ことがわかってきたのです。

 記憶や思考は、ニューロンが触手を伸ばし、他のニューロンとつながることによって行われるわけですが、そのとき離れた領域のニューロン同士が強く結びつこうとすると溝ができます。そして、まるで地球の地殻変動のように、弱い力で引き合う部分は隆起して回ができるというわけです。

 なお、この連結(しわ)は胎児の発生過程で進むのだそうです。頭をたくさん使った結果ではなかったのです。つまり、人は誰でも等しく可能性を持って生まれてくるということ…。安心しましたか?