記憶法&発想法―頭がよくなる脳の使い方
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手続き記憶、プライミング記憶

手続き記憶

 「体が覚えている」などという言葉がよく使われます。

 若い頃ギターに凝っていたが、かれこれ十数年間ギターから遠ざかっていたという人が、久々にかき鳴らしてみたらけっこう上手く弾けた、というような場合が、体が覚えているという現象です。

 といってもこれは比喩的な表現で、実際は指先に記憶があるわけでなく、複雑な手の運動を制御するための脳が記憶しているわけですね。

 心理学では、こうした体で覚えた記憶のことを手続き記憶と呼んでいます。

 動物が生きていく上で必要な基本動作も手続き記憶といいます。たとえば人間なら、2本足で歩く、走る、跳ぶ、服を着たり脱いだりする、スプーンやフォークを使う…などの動作です。これらの手続き記憶は、無意識的に行うことができるのが特徴です。

 手続き記憶には冒頭のギター演奏のように高度なものも含まれます。楽器演奏のほかには、水泳、サッカー、料理、洋裁、大工仕事、タイピング、デッサン、手品などがあります。これらは一度身につけると、長い間使っていなくても忘れない特徴があります。

プライミング記憶

 次にプライミング記憶についてですが、これは先入観が影響する記憶で、「入れ知恵記憶」というような意味です。

 ???……これでは、まったく説明になっていませんね。そこでまず、次の文字を読んでください。プライミング効果を体験していただくためです。

  にんじん、こまつな、ほうれそんう、キャベツ

以上の言葉を全部覚えておけ、というのではありません。
ひとつだけ日本語にはない単語が入っているのです。気がつきましたか?

「キャベツ」じゃないかって? いいえ、キャベツは外来語ですが、立派な日本語です。日本語にないのは?

「ほうれそんう」でした。

 野菜の名前が2つ続いたあとに「ほうれそんう」と書いてあると、不思議なことにほとんどの方が「ほうれんそう」と誤って読んでしまいます。

 

 このように、すでにある記憶があとの事柄に影響を与える現象をプライミング記憶というのだそうです。自分で打ったタイピングミスがなかなか発見できないのも、プライミング効果が強く働いて先入観にとらわれるからでしょう。

 また、勘違いも同じ記憶のメカニズムから生ずるようです。勘違いは人間の犯すミスではかなり多いほうだと思いますが、悪いことばかりではありません。細かいことにはこだわらず、「まあ、それでいいじゃないか」とするほうが、物事がスムーズに進むことが多いものです。


 そればかりでなく、勘違いは時には無関係のものを混同することによって、斬新なアイデアを生み出すきっかけにもなり得ます。脳の進化の過程で、プライミング記憶という「間違い」が生き残ったということは、創造という隠れたプラスの効果が人類の発展に欠かせないという神の思し召しと考えられないこともないのでは……と、これは素人の妄言でした。

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